POINT

この記事でわかること

肩に生じる強い痛みは石灰性腱炎のサインである可能性があり、多くの患者さんで手術を行わず、段階的に非手術治療を適用した後に改善が報告されています。急性期の痛みが落ち着いたとしても、腱の中に残った石灰の状態を定期的に確認し、経過を追う管理プロセスが必要です。この記事では、肩の機能を保ちながら回復を目指すための非手術治療の判断基準を整理します。痛みが軽くなった後の管理基準もあわせてご確認ください。

1. 夜に肩の痛みが強くなる理由は何ですか?

An image of a person experiencing acute shoulder pain from calcific tendonitis

肩の腱にたまった石灰が吸収される過程で起こる炎症反応が、夜間に痛みが強くなることと密接に関連している可能性があります。

石灰性腱炎は、石灰がたまる「形成期」、かたまりとして存在する「休止期」、ゆっくり吸収される「吸収期」へと進行します。吸収期には、細胞が石灰を異物として認識して除去し始めることで、腱の周囲に強い炎症反応が起こることがあります。

この時期は腱周囲の炎症や関節内圧が高まり、睡眠を妨げるほどの痛みが出ることがあります。痛みが軽くなったという事実だけで、石灰がすべて消えたとすぐに判断するのは早計です。


2. 最初の非手術治療の目標は何ですか?

治療開始時は、石灰をすぐに取り除くことよりも、痛みを下げて肩の可動域を保つことを目標にします。

急性の痛みが強いと動かす量が減り、関節にこわばりが残ることがあります。薬物療法と活動調整で痛みを下げたうえで、可動域を回復させるリハビリを継続するのが基本です。

痛みが強い時期はリハビリの強度を調整しつつも、休む期間が長くなりすぎないように管理する必要があります。必要に応じて、肩峰下滑液包(肩の骨の下の滑液包スペース)へのステロイド注射を検討することもあります。この注射は石灰を溶かす治療というより、痛みを抑えてリハビリを開始する余地を作る補助的な方法です。


3. 体外衝撃波治療では何を確認すべきですか?

A medical photo of extracorporeal shockwave therapy (ESWT) being administered to treat calcific tendonitis

体外衝撃波治療は、使用する衝撃波のエネルギー方式と、患者さんの現在の病態をあわせて比較しながら適用することが、安全面で重要です。

研究では、高エネルギーの集束型は放射型よりも、痛み・機能回復および石灰の減少に有利な傾向が報告されていますが、機器の性能によって結果が変わる可能性があります。集束型は病変の一点にエネルギーを集め、放射型は広く拡散する方式のため、治療目標によって効果が異なります。

抗凝固薬を服用している場合は出血リスクがあるため、治療前に医療者へ必ず伝える必要があります。治療回数は使用機器やエネルギー、症状の反応によって変わるため、数回の治療後に効果を評価し、追加治療の要否を決めるのが望ましいです。


4. バルボタージ治療はいつ選択しますか?

An illustration demonstrating an ultrasound-guided barbotage procedure for calcific tendonitis

超音波ガイド下バルボタージは、残存する石灰によってインピンジメント(衝突)症状が続く場合や、短期間で速やかな疼痛コントロールが必要な場合に選択します。

超音波で石灰を確認しながら、生理食塩水で洗い流し、吸引する針を用いた処置です。針を直接使用するため初期の症状コントロールでは良好な反応が期待されますが、長期的な石灰の吸収率は一般的な注射治療と大きな差がない可能性もあります。

腱内の石灰部位へ針を挿入する処置であるため、処置直後に起こり得る一時的な痛みや微小出血の懸念をあらかじめ理解しておく必要があります。処置後は、肩関節をゆっくり伸ばしていくリハビリが必要です。


5. 痛みがないのに治療が必要ですか?

痛みがなく日常生活の機能が保たれている場合、残っている石灰を無理に除去しないほうが、関節の健康にとって安全なことがあります。

痛みが落ち着いた後、画像検査で一部の石灰が見えても追加の症状がなければ、無理に取り除く必要はありません。石灰が残っていると症状が悪化するのではないかと不安になり、過度な除去を希望される方もいます。

しかし、休止期にある無症状の石灰へ物理的刺激を加えると、健常な腱に微小損傷や炎症が生じるおそれがあります。痛みがない場合は、定期的な画像検査で変化を追いながら、軽いリハビリを実践する管理が望ましいです。その後、痛みやインピンジメント症状が出た時点で、あらためて状態を評価すればよいでしょう。


6. よくある質問(FAQ)

Q. 体外衝撃波治療は通常、何回くらい受ける必要がありますか?

治療回数は使用機器やエネルギー、石灰の性状、患者さんの症状反応によって異なります。数回の治療後に、症状の出やすさや腱の状態に合わせて追加治療の要否を決定します。

Q. 超音波ガイド下バルボタージは処置直後に効果が出ますか?

針を入れて洗浄する処置のため、直後はむしろ張り感(重だるさ)が出ることがあります。その後、数日~数週間かけて症状が徐々に改善する可能性があります。

Q. 強力な炎症を抑える注射で、硬い石灰は完全に溶けますか?

ステロイド注射は炎症を一時的に下げるものであり、石灰を直接溶かして消失させることはできません。反復注射は周囲組織へ影響する可能性があるため、回数を慎重に調整することが必須です。

Q. 腕の動きは問題ないのに石灰が見える場合、必ず治療が必要ですか?

日常動作が正常で痛みがなければ、無理に除去する医学的必要性はありません。定期的に症状を観察し、必要に応じて画像検査で状態を再評価するのが適切です。

本医療コンテンツは医療専門家による監修のもと、国内外の信頼できる情報源を取りまとめて作成されており、最新の診療ガイドラインに基づき定期的に更新されています。

最終監修日:2026年10月15日 最終更新日:2026年10月15日

出典

  • de Witte PB, et al. Ultrasound-guided needling and lavage versus corticosteroid injection. Am J Sports Med. 2013.
  • Louwerens JKG, et al. Extracorporeal shockwave therapy for calcific tendinitis. J Shoulder Elbow Surg. 2014.
  • Rompe JD, et al. High-energy vs low-energy ESWT in chronic calcific tendinitis. J Shoulder Elbow Surg. 1998.

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